2006/12/20   年明け割と前


こたつの中に、一組の男女がいた。
別に恋人同士ではないのだが、クリスマス一人は嫌だと集った、友達同士である。
「ねぇ、タバコとお酒以外なんかないの?」女性が言う。
「……人生ゲーム」
「却下」
「プレステ壊れてるからDVD観れねえからさ、あとなんかあったかな」
「とか言いながら何でこたつから出て探さないのよ」
「寒いもん」
「あーあ、じゃあ私が漁るわよ」
「いや、それは、やめてくれ、俺の秘密がバレる」
「ロリコンで、そのくせ巨乳好きのあんたの残る秘密は何?」
「……ないな」
「漁るわよ」
女性がこたつから勢いよく立ち上がると、風が入ったのか男はこたつの中なのに震えた。
「あれ、あんたカノジョいたっけ」
「は? いたらもっとぬくぬくしてるって」
「じゃこの押し入れの底板の下に隠れてるゴムの山なによ、しかもウレタンの0.02mm? 最新じゃない」
「え、う……」途端男の顔に赤みが差す。
「あれぇ? どうしたの赤くなっちゃってぇ」
「……」男はうつむき加減に沈黙している。
「これどれだけよ、整って。2、4、6、8かける3が二段?48箱って言ったら、これ確か6個だから288個もあるじゃない、2グロス? 夫婦の量よこれ」
矢継ぎ早に言う女性に、男は反論も何も出来なかった。
「訳わかんないー……誰かに使う予定もないのに、せめて一段にしたら?」
と、女性が言ったとき、女性は引き倒された。
「あ痛っ」がん、と床に女性の頭が当たる。女性を引き倒し上からのしかかっているのは、こたつの中にいたはずの男だった。
「あんたねー」女性は冷静に、かつ叱るように言うのだが、
「だったら今晩一段にするよ、すりゃいいんだろ」と、男は涙目になっていた。
「使って?」
「つ、使ってだ」
「144回イッたらあんた死ぬわよ、赤玉出て」押し倒されつつ女性は腕組みをした。
「するの? したいの? 襲いたいの? もう関係終わるわよ」
「俺は……」男はそれきり言葉なく、女性の服に手をかけた。
「あーはいはい分かったわよ、一応高い服も着てるんだからちょっとどいて」
と、女は男を振り払って床に転げさせた。ついでポイポイと部屋中に服なり肌着なりを脱ぎ捨てた。
女は男に背を向けて言った。
「私微乳で売ってんだけどー、途中で『好みに合わない』とか抜かしたら蹴り上げるからね」
女はさっきのように床に寝ころぶと、男の肩を掴んでもう一度自分の上に持ってきた。
「はい、箱一つ目」と、手渡す。男が開封に手間取っている間に、
「私声大きいから覚悟しといてね、まぁ横の部屋もさっきからあやしいから別にいいんだけど」
「声って……」
「別にここまできて『きゃーたすけてぇ』なんてバカなこと言わないわよ、さぁ来なさいよ、限界試してあげるわ」

  *

「はっ」
女性はそう発して、自分に結びついて止まっている男を足でどけた。
「結局1箱も使い切れなかったじゃない、5発? 超半端」
その言葉から扉が強く閉まるまで、そう時間はかからなかった。
残された男は

裸のままこたつに入って泣いた。男として、自分が男らしく無いことに。